ALSについて

ALSに似た病気

ALSの症状には、他の疾患と類似したものがあります。ここでは、その代表的なものをご紹介いたします。その他、様々な病態が考えられるため各種検査が必要になります。まずは、医師にご相談ください。

脳梗塞・脳出血

最も一般的に筋力低下をきたす疾患です。脳卒中といわれるように、ある日突然筋力低下をきたすのが原則で、この点がALSと最も異なります。また、脳梗塞の部位や大きさによって、意識レベルの低下や感覚の異常を認めることがあります。筋力低下も、右手と右足、左手と左足というように半身に生じるのが一般的です。頭部MRIやCTで脳梗塞や脳出血が分かります。

脳腫瘍

ALSと同様に、筋力低下が徐々に進行していく場合がある疾患です。しかし、筋力低下が、脳梗塞や脳出血と同じように、右手と右足、左手と左足と半身に生じるのが一般的です。頭部MRIやCTで脳腫瘍を証明します。治療は可能であれば手術を行ったり、抗がん剤を用いたりします。

球脊髄性筋萎縮症
(spinobulbar muscular atrophy:SBMA)

ALSと同様に全身の筋力低下が徐々に進行する疾患です。症状はALSとよく似ていますが、下位運動ニューロンだけが障害され、10年単位でゆっくり症状が進行していきます。呼吸機能障害は生じにくいこともALSと異なる点です。アンドロゲン受容体の異常により発症することが判明しており、遺伝子検査で確定診断可能です。現在、アンドロゲン受容体阻害剤の有用性が検討されています。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
(chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy:CIDP)

全身の末梢神経が慢性的に障害され、進行性に筋力低下が進行する疾患です。ALSに比較し、しびれ感などの感覚障害を伴う場合が多く、嚥下障害や呼吸機能障害を認める方は少ないのが一般的です。髄液検査でタンパクの上昇、神経伝導速度検査でconduction blockなど特徴的な異常を認めます。ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量療法、免疫吸着療法などの治療法があります。

Multifocal motor neuropathy with conduction block(Lewis-Sumner病)

前述のCIDPと同様に、全身の末梢神経が慢性的に障害され、進行性に筋力低下が進行する疾患です。CIDPと異なり、感覚障害を生じないのが特徴で、ALSと非常に良く似ています。しかし、ALSと異なり、髄液検査でタンパクの上昇、神経伝導速度検査でconduction blockなどの特徴的な異常を認めます。免疫グロブリン大量療法、免疫吸着療法などの治療が行われます。

頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy)

頸椎の変形(頸椎症)に伴い、変形した骨や軟骨が脊髄を圧迫し、ALSと同様に四肢の筋力低下などをきたす疾患です。ALSに比較し、しびれなどの感覚障害、膀胱直腸障害(尿や便がでにくいなど)を伴う場合が多いのが一般的です。逆に、顔面や首の筋力低下や嚥下障害、呼吸機能障害を認めることは一般的にありません。頸椎MRIで、頸髄の圧迫・変性が認められることにより診断されます。治療として椎弓形成術などの手術を行います。

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